標高629m塩谷丸山は小樽のJR塩谷駅から歩きだし除雪終点からシールハイクで約2時間で頂上に立つことができる。冬ルートは夏山登山コースとは異なるのだが、そう難しくはなく絶景の頂上となだらかなオープンバーンが人気の理由だ。
少し前の話だがお客さんたちと頂上に立ち、滑降準備を整えて滑り出す斜面の方を見下ろしているとそのおじさんは現れた。
スキーを肩に担いでツボ足ラッセルですごい勢いで登って来る。
北海道の雪山でスキーを肩に担いで登れる山は頂上まで圧雪されているニセコアンヌプリくらいではないだろうか…。
スキーを肩に担ぐってのは我々がスキー場に着いて車からゲレンデまで歩くあの姿だ。ふつうは雪山にスキーで登る場合はシールを張って登るか、スノーシューの助けを借りないと柔らかな雪に潜ってしまい、まったくもって前進不可能なはず。
いよいよ頂上に迫って来たそのおじさん!
足元は長靴、しかもスキーはケースにはいったまま肩に担いでいる。
「あ~、やっと着いた!」というおじさんに僕は思わず聞いてしまった。
「え~、歩いて登って来たんですか?」
「人からいい山だと聞いたので」
「そういう事じゃなくて…」
あまりかかわらない方が良さそうだ。
おもむろにザックを下ろすと中からサロモンのリアエントリースキーブーツを取り出し、よろよろしながら長靴から履き替えていた。
しかも靴下にいっぱい雪を着けて…。
この写真は10代の頃の自分であります。
背中には10日分の食料やテントなど40㎏の荷物をキスリングと呼ばれる木綿のザックに詰め込み、スキーでのし歩き頂上に着いたらシールを剥いで、滑って来るのが「山スキー」
これに対して「ゲレンデスキー」はリフトに乗ってスキー場をぐるぐる回すやつ。
まぁ、スキーと言えば一般的にはこちらだな。
ところがいつの頃からかバックカントリースキーがブームになり、粉雪を蹴散らし
さっそうとパウダーの斜面を滑って来るのがかっこいいと山スキーから独自の進化を遂げ、認知度も人気も高まっていく。
そうなると誤った情報も錯綜し、先のようなとんちんかんなおじさんも出現。
事故や遭難騒ぎまで起こしたりして、スキー場のコース外を勝手に滑る悪い奴ら
みたいになっていくんだよなぁ…。
日本のスキー人口はだいたい250万人くらい。
そのうちバックカントリー人口はさらにその50分の一以下。
つまり日本では約1億人が山を滑るバックカントリースキーの事をよく分かっていないという事になる。
よくわからないけど、同じスキーだし「自分で登って自分で滑るんだから文句あっか?」と言われると…
まあ、あまりかかわらない方が無難かね。
夏タイヤで雪に降られて立ち往生っての同じ事なんでね。
「だって冬タイヤ持ってないしぃ~、めったに降らないでしょ」
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